読書会本紹介-『商売繁昌-昨今職業づくし』
日数が経ちましたが、1月25日に参加した読書会に持参した本を紹介いたします。
三宅菊子・阿奈井文彦『商売繁昌-昨今職業づくし』中公新書 昭和51年発行
1970年以降『婦人公論』に掲載された記事の書籍版です。
内容はと言うと、サブタイトル通り、1970年代ごろに存在した職業についてのお話。
春夏秋冬と季節に分けて職業を紹介しています。
紹介と言ってもライターさんが取材した内容を記事にしたのではありません。
その職業に従事している人たちの言葉を聞き書きと言う形で文章にしています。
70年代と言うと今から50年ほど前。
令和平成の前、昭和の後半です。
この本に紹介されていて今は無いであろう、あってもほんの一握りの人が細々とやっていのかなと思われる職業をチョイスしてみると・・・・
「アドバルーン」「両替屋」「赤帽(駅構内でのポーター)」「煙突掃除」「かけはぎ屋」「紙芝居屋」「堀井戸工事」などなど。
今では、もうほとんど見ることがなくなった、少なくなった職業。
失われた風景と言っても言い過ぎではないと思います。
これ以外にも「天ぷら屋」「清掃業」「チリ紙交換」「家庭教師」などと言った今でも変わらず存在する職業も紹介されています。
また映画館の売店と言った今でもある仕事もありますが、主たる映画館の数が減り、上映型式も替わった今、昔の映画客の様子が微笑まくしも懐かしくあります。
すべてが無くなってしまったかというと、手数料を頂いて両替する「両替屋」の仕事は、現在銀行が手数料をとって両替するシステムをはじめたのみると時代を超えて復活したといえなくもありません。
他の職業も令和の時代に合わせ、姿を変えて復活するのでしょうか?
それは誰にも分かりません。
私自身は、この本を読んで失われた風景に思いを馳せ、ただ懐かしく思うばかりです。
余談
聞き書きの本を何冊も読んでいたのに、この本が聞き書き形式の本であると読書会で指摘を貰うまで気づかなかったのは猛省するばかり。
また記者の方もおられて、「あて書き」といってある程度テーマを決めて、記者や編プロに依頼する編集企画方法があるそうですが、この本の元の記事もその方法で作られたのではないかとの興味深い意見を頂きました。
色々と勉強になるなぁ。
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