『「ガンダム」の家族論』
富野由悠季『「ガンダム」の家族論』(ワニブックスPLUS新書
ご存知の方も多いかと思いますが、4月に発売されたガンダムの富野監督の最新著書。
講談師 南半球氏や映画監督細川博司氏も大絶賛の本です。
4月中には読み終えていたのですが、ブログで紹介するのが今になりました。
他人の言葉を借りてこの本について一言で言うと南半球さん曰く「トミノの思想本」。
その通りの本ですw。
取りあえず目次を眺めてみると・・・
はじめに―アニメーションの現場から
第1章 アニメで「家族」が描けるか
第2章 好き合って結婚したのに何故つらいのか
第3章 父性と母性の文明史
第4章 子育てをしなかった僕が娘に伝えたこと
第5章 「家族」とは修業の場だ
第6章 「家族」の未来へ
第7章 「ガンダム」世代の親たちへ
おわりに―アニメは僕の学校だった
家族にまつわるタイトルばっかり。
それはそれで間違いないのですが、肝心のアニメについては一章に1~2作品登場すればいいところです。
自分の生い立ち、人生経験を通して家族、そのあり方等についてトミノ節炸裂で熱く語ってくれます。
それもかなり過激に!
それもただ激情に任せて書いただけの品物ではなく、しっかりと取材し、さまざまな書籍を読んだ上になりたっているだけに説得力もあります。
実際問題としてタイトルは、『冨野思想によるこれからの家族論』とすればぴったりだったと思いますが、ガンダムとつけたのは大人の事情だったかなという感じですw。
ここでこの本を紹介されるときに良く使われる箇所を引用します。、
『ガンダムF91』で家族の情愛を表現する小道具として使ったあやとり。
単に親子の繋がりを表現するなら、家族の思い出の品などでもいいわけなのだが、わざわざこのあやとりをいう小道具を選んだのには理由がある。
それは、あやとりが、単にリィズとモニカの代打柄を表現するだけに留まらない広がりを持っていると考えたからだ。
あやとりのようは所作事というのは、ある民族、ある文化の流れかの中でずっと伝えられてきたものだ。つまりあやとりの中には、あやとりを津あって遊んでいたある文化を継承してきた血族、さらにもう少し大きく言えば民族の記憶が込められている。
つまり、家族愛だけでなく、ある文化を継承する民族の末裔が宇宙世紀にもいるということF91でさらりと表現していたということです。
凄すぎる!
こんなことを考えている人が描いた家族論本。
別に意味でこの人はどれだけのことを予見しているのか、一般人の予想よりもはるかに深く考えて作品を作っているのか、それを想像するとうす逆に怖くも感じます。
それゆえに色々と問題提起を、今以上の思索を与えてくれる本でもあります。
ガンダム世代に必読なのはもちろん、できれば高校生、大学生、それに社会人になったばかりの人には特に読んで、論議してもらいたい一冊です。
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