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『浅原須美・中川カンゴロー『夫婦で行く花街 花柳界入門』小学館』

K01-025 浅原須美・中川カンゴロー『夫婦で行く花街 花柳界入門』小学館 1998年

 花街といえば、たいていの人はだらりの帯をしめた舞妓が歩く京都は祇園を思いうかべるだろう。

 確かに祇園は現代日本においては花街の代表格的な存在だが、祇園だけが現役の花街ではないことを本書は教えてくれる。

北海道札幌、岩手盛岡、山形坂田、山形七日町、東京向島、東京浅草、東京神楽坂、新潟古町、長野松本、石川金沢、福井小浜三丁町、静岡清水、静岡常磐町、岐阜米屋町、三重桑名、京都宮川町、福岡博多、長崎丸山町、熊本新町。

計19ケ所の花街を掲載し、花街の風景、仕切りタ、お値段、周辺の飲食店等を紹介してくれている。
特に一見さんいとては、お花代や予約について書かれているのが非常にありがたい内容となっている。

 先ほど京都祇園が花街の代表格と書いたが、花街は京都にしかないと思っていた人にとっては、19ケ所も現役で存在していることに驚くだろう。
その京都にも祇園、いわゆる祇園甲部以外にも祇園東、宮川町、先斗町、上七軒と存在し、京都五花街を形成している。

 だが、実際にはこれ以上の花街が存在し、今も頑張っている。

 今回本書に紹介はされていないが、関西圏で私が知っている処、訪れた街だけでも、大阪新町、北新地、南地、奈良元林院、和歌山田辺、滋賀大津と規模は小さいながらも日々芸を磨きつづけている。

一昨年、久々に新人芸妓が誕生した元林院、京都まで芸事の稽古にきている芸妓さんがいる小浜三丁町、花街に伝わる伝統芸能「大津絵踊り」を継承し、保存会を結成し、手ほどきをしている大津。

 しかし現実は厳しく、大人の粋な遊びを楽しめる人は少なくなり、それに比例して後継者も少なくなっている。
そんな中でも取り巻く環境の厳しさに負けず伝統の灯を守り、花街を盛り上げようと頑張っている人たちも多い。

そんな人たちを一緒に花街を楽しみ、盛り上げていくのも粋な遊び方の一つではないだろうか?

 でもまだまだ外部のそれもはじめての人間には、花街の敷居は高い。
だが本書を読めば、そんな花街が敷居を少し下げ、中を覗かせてくれる。
そう飛び込んで体験できる切っ掛けを与えてくれるのだ。

花街・・・若い人が遊ぶのには不向きな場所だが、退職し、第二の人生を楽しもうとしている大人の街。
本書はその格好の花街入門書だ。

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コメント

こんにちは、検索からおじゃましてます。
花街の芸妓さん、興味津々ですねぇ。

京都の場合は、舞妓さん芸妓さんだけでなく
「太夫」さんもいらっしゃいます。
「幻の花街」といわれる「島原(嶋原とも)」の
太夫さんがそれです。なぜ幻かというと
太夫さんをあげて遊べるところが、今はもう
「輪違屋」(小説で有名になりましたね・・)さんしか
ないからです。

歴史上の地名 と一般に思われている「京都の島原」は
今も現役です。
こういうところが京都だ!と思います。
(司太夫のインタビュー記事貼らせて頂きました)

投稿: さつき。(嶋原応援してます) | 2009年10月 4日 (日) 11時43分

>さつき。さん

 コメントありがとうございます。
 
 最近は時間が合わなくて赴いていないのですが、吉野太夫花供養や夕霧忌へ太夫さんを見に行ったものです。
 輪違屋も一般公開をしたときに見学に行きましたよ。

 全国に花魁道中は数あれど、ほとんどが公募であり、職業として存在する島原太夫さん、伝統文化の担い手、そして広報者としてこれからも頑張ってほしいものですね。
 でも太夫さんにしても花街にしても、やはりまず知ってもらうことが第一ですよね。

 また折をみて花街の本なども紹介及び目録に加えて行きたいと思ってます。

投稿: どりぃむめっせ店長 | 2009年10月 4日 (日) 23時41分

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