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『全国女性街ガイド』考

 昭和30年に季節風書店から出版された渡辺寛著『全国女性街ガイド』という本をご存知でしょうか?街歩き、特に遊廓跡を散策している人たちが、喉から手が出るくらい欲している本の一つが、この『全国女性街ガイド』だと思います。 平成の赤線研究第一人者である木村聡氏が著書『赤線跡を歩く』の巻末で参考文献としてあげているのでご存知の方も多いでしょう。『赤線跡を歩く』あとがきに渡辺氏について簡単に経歴が書かれています。新聞記者から旅行作家に転じ、その後テレビ喫茶店を経営するも現在は消息不明だそうです。 この『全国女性街ガイド』、何が貴重かというと、売春防止法が施行される3年前、まだまだ赤線に活気があった頃に出された本という事が第一点。あの国会図書館から紛失し、閲覧する事が出来ない本であるという事が第二点。そして古書市場に出まわる数が極端に少ない、その三点に尽きるのではないでしょうか? ですがまったく見ることが出来ないという本でもありません。7~10年に2000~5000円ぐらいの価格帯でひょこっと出回ることがあります。また雑誌『旅行の手帖NO.20』自由国民社記載の「よるの女性街・全国案内版」がその原型になったと言われています。『女性街ガイド』では、町の情景などを加筆し、ルビが変更されて少し違うぐらいで案内部分はまったく同じで、各地域章の冒頭にその地域の女性の気質を、章間にはコラム的に芸者の説明や赤線経済などの読み物を入れています。この読み物も渡辺氏が別の雑誌に書いた記事を簡略に修正したもののようです。ですので『旅行の手帖NO.20』があれば『女性街ガイド』の大体の様子を知ることが出来ます。また面白いことに表紙デザインの相違とグラビアページが追加されただけで内容はまったく同じ『旅行の手帖NO.23』と言う号も出ています。20号が発売された3ヵ月後に刊行されたのは、20号が好評だったのかそれとも別の意図があって出版されたのか、まったくもって謎です。 『旅行の手帖NO.20』『旅行の手帖NO.23』は比較的古本市場では出回っています。しかし『全国女性街ガイド』の方は、ほとんど見ることがありません。やはり新書本と言う事と売春防止法が施行された為に読み捨てられたのでしょうか?

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コメント

全国女性街ガイドを購入したいのですが可能でしょうか

投稿: 西山 勇 | 2007年8月22日 (水) 08時22分

全国女性街ガイドを購入したいのですが可能でしょうか

投稿: 西山 勇 | 2007年8月22日 (水) 08時24分

不可能ではないですが、かなり気長に探さないと購入は不可だと思います。

投稿: ふくちゃん | 2007年8月22日 (水) 20時19分

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