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『鼻行類』

H.シュテュンプケ『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』平凡社ライブラリー 1999年5月

 『栞と紙魚子3』に『直立魚類』と共に名前が挙げられていた本が、この本『鼻行類』です。これは実際に存在する本です。思い出して久々に本棚から引っ張り出しました。
 この本は足の代わりに鼻を使って異動する架空の動物達をまじめに解説している動物誌です。この本をはじめて知ったのは、十数年。多分澁澤龍彦か荒俣宏の著書か『世界の奇書』(自由国民社)のどれかだと思います。その時、「うわぁ~、すげぇ、この本読みたい」とピュアなハートをときめかしたものでした(笑)。
 『鼻行類』は過去にも思索社、博品社出版と版元を代えながら出版されています。私の所蔵本は平凡社版で奥付けは2003年初版第2刷なので、実際手に入れたのは3年程前です。たまたま新刊書店に訪れた時、棚に表紙を表にして並んでいたのを見つけたのでした。『うぉ~、『鼻行類』や!』と心の中で叫び、多分他の本を探しに行った筈なのにそれだけ購入して帰った記憶がかすかにあります。
 平凡社版には博品社版の訳者あとがきも収録されているのですが、その中で日本初翻訳の思索社版が出版された時、「こんな奇妙な生き物が地球上にいたのか!」とか「どうして今まで断片的な紹介すらなかたのか?日本の動物学者は怠慢だ!」だなんて意見や「写真を見たい」「標本を是非借りたい」などの手紙や電話が出版社宛てに届いたと面白いエピソードが紹介されています。
 ともあれ架空動物誌ですが、動物誌を謳っているだけに鼻行類について単鼻類と多鼻類に分類し、そこからさらに分類し、当時判明している(笑)生態を克明に記されています。・・・思わず信じる人もそりゃ出てきますって・・・。
 この本を「馬鹿馬鹿しい」と笑いながら読むか、「本当に存在したらいいな」と夢見がちに読むかは読者次第です。でも同じ読むなら少しでも夢がある読み方の方が楽しくありませんか?私も「実際にいたら是非飼いたいなぁ」なんて思いながら前も読み、また今日も久々にページをめくります。
 

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